『ねらわれた学園』の原作は児童文学の名作です。児童文学とは、子供が自分自身で読みたいと思う、でも時には子供を傷つける部分さえあるかもしれない、書き手も読み手も、そんな危うさを覚悟の上で、正面から向かいあった作品のことだと、僕は思っています。
今回、映画化するにあたって10代の子供たちはもちろん、年齢を重ねて読み返すごとに、なおさら奥行きを感じられるように見ていただける、そんな作品づくりを目指しています。
素直であることを、怖れない作品をつくりたい。感心されるよりも、愛される作品をつくりたい。良い作品よりも、楽しんでもらえる作品をつくりたい。お洒落で行儀の良い作品よりも、恰好悪くても本音の作品をつくりたい。親が子供に見せたい作品よりも、親はすこしは眉をひそめるかもしれないけれど、少年少女が、自分から見たいと思う作品をつくりたい。それが、今回の僕の挑戦です。